「おいしいですか?それ・・・」 いつものようにイザークがキラの酌で酒を飲んでいると、不思議そうにキラが訪ねて来た。 「うまい・・が。まぁそれは人それぞれだからな」 「そうなんですか。イザーク、いつもそのお酒ですよね。他にもいろいろあったのに」 「これが一番好みだからな。それほど甘くないし」 「そうですか」 そういいながら、キラは自分の手元の銚子とイザークの手元にある猪口を交互に見つめる。 そういえば、キラがお酒を飲んでいるところは見たことがない。 いつも、キラの酌で自分ばかりが飲んでいたから。 「キラはどんな酒が好きなんだ?」 「お酒は・・飲んだことがないんです。マリューさんも以前晩酌だって飲んでいたときがあったんですけど、僕はまだ小さいから飲んじゃダメって言って」 「ほう・・・。ならば、飲んでみるか?」 「え?」 イザークは自分が持っている銚子をキラに持たせ、その中に酒を注いでいく。 キラは困ったようにイザークと銚子を交互に見つめていたが、イザークが飲んでみろと促すと恐る恐るというようにう口をつけた。 「っ!?」 「どうだ?」 「に・・苦い・・・です」 銚子1杯飲んだだけなのに、咽たように咳を繰り返す。 やはり、最初にこの酒はつらかったかとイザークは苦笑をもらす。 このお酒はいろいろな酒の中からイザークが選び抜いた極上の物。酒好きにはたまらないほどの酒でも、初めて酒を飲む人にとっては少しキツイ物だ。 「次はもう少し甘い奴にしようか」 「こんなに苦いのに・・・甘いお酒なんてあるんですか?」 「ああ。果実酒ならばお前も飲めるだろうしな。今度、持ってきてやろう」 「本当に苦くないですか?」 「苦い、というより甘いな。俺は逆に飲めん」 「なら、楽しみにしていますね」 そういうと、キラは持っていた銚子をイザークに返し、またその中にお酒を注ぎこんだ。 イザークは躊躇することなく、それを一気に飲み干した。
(あれ・・・・・) イザークとたわいもない話をしている最中、なぜかキラは頭がボーっとしてくるのに気づいた。 頭がボーっとしてうまく働かない。 今までこんなことはなかったのに。 「キラ、どうした?」 「・・・・イザ・・ク・・・・・・」 引き寄せられるそのままに、イザークの肩に頭を乗せる。 イザークの手が触れている部分が・・・熱い。 「ん・・・なんか・・・変です・・・・」 「どこかつらいのか?」 「・・・身体・・・・熱い・・・です」 イザークがキラの顔を覗き込めば、肌は上気していて瞳は潤んでいた。 これではまるで・・・・ 「キラ、お前もしかして・・・・」 「あんっ」 ためしに胸の飾りを服越しに触ってみると、それはもう立ち上がって硬くなっていた。 触った途端にビクッと身体を震わせるのは、まるきり情事の最中のキラそのもので。 「キラ、どうしたんだ?」 「イザーク・・・・」 キラの腕がイザークの首に回されたかと思えば、キラが自分から深く口付けてきた。 「ん・・・・・」 「ふ・・・ぅ・・・・んぁ・・・・・・・・・」 いつものキラとは比べ物にならないぐらいに、激しくイザークを求めた。 イザークもそれに応えるように舌を絡めながら、目を薄く開けて今のキラを眺める。 キスに酔っているキラはいつもどおりなのだが、これほど性急に自分から求めるキラをイザークは知らない。 いつも恥ずかしがって最初はおずおずとしか求めてこないのに。 (普段とは違うこと・・・何かあったか?) ふと、イザークの視界に倒れた銚子と猪口が目に入った。 いつもと違うといえば、キラは今日初めて酒を飲んだ。 だが、猪口1杯飲んだぐらいで、これほど酔うものなのか? ゆっくりと唇が離れれば、キラは力が抜けたようにイザークの身体に寄りかかった。 「キラ」 「あ、んっ・・・」 いつの間にかはだけていた裾から手を忍び込ませると、すでに立ち上がっていたキラのものに触れた。 「もうこんなに硬くして。キスだけでこんなに感じたのか?」 「だ・・て、イザークのキス・・・は、気持ち・・・いい・・・・からぁ・・・・」 「今日はお前からのキスだ。初めてだな、あんな積極的なキスは」 「言わない・・・でぇ・・・・」 耳元でささやかれる言葉が恥ずかしいのか、キラは耳まで真っ赤にしながらイザークの身体にしがみついた。 次第に早く動かされるイザークの手の動きに、キラは徐々に身体を痙攣させる。 「もう・・・だめ・・・イクぅ・・・」 「ああ」 キラの先端に軽く爪を立てれば、キラはあっけないぐらいに自身を放った。 「は・・ぁ・・・・・・」 肩で息をしているキラの身体を抱き寄せ、膝をまたがせるようにして座らせる。 「キラ、もう少し酒を飲むか?」 「え?・・・んっ・・・っ!?」 口に酒を含むと、それをキラの口に流し込む。 驚いて身体を離そうとするキラだが、イザークがそれを許すはずがなかった。 濃厚な酒の匂いと味が、キラの味覚と思考を凌駕する。 飲みきれなかった酒が、キラのあごへと伝う。それを丁寧に舐めとると、イザークはもう一度酒を含みキラの口へと注ぎ込んだ。 今度はキラも抵抗することなく素直に与えられたものを飲み干す。 「ふぁ・・・・・」 ようやく唇を離せば、キラはこてっとイザークに身体を預ける。 だが、そのうちに燻るような熱い何かにキラは気づいていた。
身体が、それを求めている。 心が、それを欲している。
「イザーク・・・」 「ん?」 瞳を潤ませてイザークを見上げても、イザークはキラの髪を優しく梳くだけでキラの思いに応えようとはしなかった。 いや、キラがはっきりと求めない限りは、か。 「イザーク・・・、イザーク、ね、お願いだから・・・」 「何をだ?」 あくまで知らない振りを続けるイザークに、キラは我慢ができなくなって両腕をイザークの首に絡めた。 「ね、頂戴・・よぉ・・・。身体、熱いっ・・」 「何を、どこに?」 「/////イザークのを・・・僕の、中に・・・・」 恥ずかしさでいっぱいになり、キラはイザークに顔を見られないように胸に顔をうずめた。 「欲しいのならばキラ、お前が自分でやってみろ」 「え?」 何を言われたのか分からなくて、キラは身体を少し離してイザークの顔を見上げた。 その頬に手を添えて、イザークは意地悪く笑って見せた。 「欲しかったらキラ、自分で入れてみろ」 「む、無理だよっ」 「無理なものか」 「ひゃ」 イザークの指が、何の前触れもなくキラの秘部へと差し込まれた。 たいした愛撫もしていないのに、そこはもうしっとりと濡れていてまるでイザークの指を絡め取るかのようにうごめいていた。 指を1本から2本、3本へと増やしてもなんの抵抗もなくすんなりと受け止める。 「ここはもう欲しがっているぞ。それなのに、キラはいらないのか?」 「・・・・・・欲しい、よ」 「ならば、わかるな?」 ちゅっと額にキスをされて、キラは覚悟を決めたかのようにイザークの上にまたぎなおした。 イザークのそれはすでに服の上からでも分かるほどに張り詰めていた。 それを、キラはそっと取り出す。 「・・・おおきい・・・・・」 こんなに大きなものが自分の中に入るのか、不安になる。 「大丈夫だキラ、ほら、やってみせろ」 「うん」 ぎゅっとイザークに抱きつくキラの体をイザークもぎゅっと抱きしめた。 イザークのものにそっと手を添えると、キラは自分の秘部へと押し当てた。 「ん・・・・」 ほんの少し先が当たっただけでも、ビクッと身体が震える。 「そのまま、ゆっくりと腰を下ろせ」 「ん・・・、やっぱ、り、大きい・・・よぉ・・・」 ゆっくりと自分の中に進入してくる感触に、キラはぎゅっと目をつぶりながら腰を下ろした。 ようやくすべてを収めたころには、すっかりキラの息が上がっていた。 初めてのことだったので、力の加減が分からず、キラの身体は硬直したままだ。 イザークは動きたいという欲求を何とか抑え、キラがなれるまでそのままじっとキラの身体を抱きしめ背をなぜ続けた。 そのうち、キラは中で燻っているものに気づいた。 「キラ、そろそろ動けるか?」 「うご・・く?」 「ああ、こうして・・・・」 「っひゃ!」 キラの腰に手を添えると、1度だけ大きく上下に動かした。 だが、それは本当に1度だけで、イザークはすぐ止めてしまった。 「や・・・、イザークもっと・・」 「だから、お前が動いてくれ」 「む、・・・・無理だよ・・・・」 「大丈夫だ。ほら、支えていてやるから」 「ん・・・・」 キラは覚悟を決めたようにゆっくりと腰を浮かす。 自分で動いている、ということに意識が集中しているため、普段より敏感に中に居るイザークを感じ取ることができる。 普段なら、イザークの動きに感じすぎてこんなにはっきりと感じることはないから。 「ふぅ・・・・・、あっ」 イザークの支えも借りてゆっくりと動いていたキラだが、慣れてきたのか少しずつ動きが早くなってくる。 「ねぇ・・・イザー・・・・ク?」 「なんだ?」 「イザ・・・も、気持ち・・・・いい?」 「ああ、とても気持ちがいい。やはり、キラの中は最高だ」 「僕・・・も、気持ち・・いい・・よ・・・・、・・・・・・っ・・・・あ・・・・・・」 「もうイクか?」 「イきたい・・・・けど・・・、ダメ・・・・・。・・・・・・ふぅ・・・・・・いけ・・・な・・・・・っ」 初めての行為にわずかにためらいがあるのか、それとも、刺激が足りないのか。 キラのものは張り詰めてぎりぎりのところにあるのに、それでもイクことができないようだ。 「しかたないな」 「っふぁっ!?」 イザークはキラの腰をぐいっと引き寄せると、力強く動き出した。 「や・・・だ・・・めぇ・・・・、そんな・・したら、壊れ・・・・・・ああっ!」 「キラ・・・キラ・・・・・」 先ほどとはまったく違った快楽に、キラの頭は真っ白になってしまう。 ただ、耳元でささやいてくれるイザークにしがみついた。 「も・・・、もうイク・・・っ!」 「ああ」 「ふ・・ぁ・・・・い、・・・・や・あああああああああっ」 「っっ!」 キラが果てると同時に、イザークもキラの中に自分を吐き出した。
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