「うわ〜〜!!!」

「イザーク!」

 

 

 

突然の、ことだった。

地球軍のMSとの対決。

そのさなかにおきたこと。

イザークが、敵の手に落ちてしまった。

あのイザークがまさかと思ったが、敵のMSが抱えて母艦に戻ろうとしているのは確かにデュエルで・・・。

 

必死に取り戻そうとした。

俺も、ディアッカも、ニコルも。

でも、届かなかった・・・。

守りたいものを、手にすることができなかった。

 

絶対に、助け出して見せるから・・・・・。

 

 

 

思い出して・・・・

 

 

 

イザークが目覚めると、そこには何もない、ただの白い天井が合った。

なんでこんなところに自分が寝ているのか、それが分からない。

それ以前に、なんでここにいるのかさえも。

「起きた?」

イザークはふと、声を掛けられた方を見た。

そこには自分をじっとみつめてくる、多分知らない奴がいた。

なぜだろう、何も思い出せないんだ・・・。

「痛いところ、ない?」

問いかけに自分の体をさぐってみるが、これといって痛みを覚える場所もない。

コクリとうなづくと、そいつは俺に手を差し伸べてきた。

「じゃあ、あいつのところ行くから。立って」

「お前、誰?」

素直にその手を掴みながら、イザークは尋ねた。

「シャニ・アンドラス。あんたは?」

「・・・・・・・イザーク・ジュール」

「ふ〜ん」

それだけ言うと、そのシャニという青年はイザークをとある部屋へと連れてきた。

 

 

 

 

「ああ、目覚めたんですね」

中でえらそうに座っていた奴が、イザークを見つけたら嘘みたいな変な笑顔で笑っていた。

「あんた・・・は?」

「ムルタ・アズラエルですよ。まぁ、名前ぐらいはご存知ですか」

「・・・・知らない。どうして、俺はここにいるんだ?」

イザークからの質問にアズラエルは驚いたように目を開き、次の瞬間にんまりとした顔つきで笑っていた。

何かをたくらんでいる。

それは、十分イザークにも感じられた。

「君は、なぜこの船に乗っているのか分からないのかな?」

「知らない。だから聞いている」

「そう。君はね、この船に重要なお客人だ。そのうちに分かるときが来るよ」

「そういう、ものなのか?」

「そういうものです」

納得がいかないと言おうとしたイザークだが、ふいに胸に走る激痛に言葉を詰まらせた。

胸をぐっと掴むと、そのままその場にうずくまる。

なんだ、これ・・・。

わからない、苦しい・・・っ。

「ああ、もう薬が切れてしまわれましたか・・・」

「くす・・・・・り・・・・?」

「君の病気のお薬ですよ。さあ、これを飲みなさい。楽になりますから」

そういわれて差し出された瓶の液体を、イザークはなんの躊躇もなく、飲み干した。

とにかく、この激痛から治るすべだったら、なんでもいい。

 

 

液体を飲むと、不思議なくらい簡単に胸の痛みが引いた。

だが、なれない激痛のためかイザークはそのまま意識を手放してしまった。

 

 

 

 

 

 

「なぜ助けにいってはいけないのですか!」

同じ頃、アスランは攻撃命令を下さないクルーゼへとくってかかっていた。

あのあと、アスラン達はすぐにでもイザークを助けに行くつもりだった。

それなのにクルーゼはそれを認めず、3人に帰艦命令を下したのだ。

上官の命令を無視するわけにもいかず、アスランたちは帰艦するしかなかった。

「今の体勢を考えれば分かるだろう?アスラン。今は、むやみに攻撃をしかけるべきではない」

「ですが、イザークが捕虜になっているのですよ!?」

「それは重々承知しているさ。だが、今は時ではないのだよ」

それ以上は取り合わないというように、アスランには退室するように命令した。

悔しげにクルーゼに敬礼をすると、アスランはそのまま自室へと戻った。

「・・・・・イザーク・・・」

どうか、無事で・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

イザークが目を覚ますと、いきなり飛び込んできたのはさっきのシャニと名乗る男だった。

「あ、目が覚めた」

ボーっとしてるイザークの顔を覗きこんで、そうつぶやいた。

なんでこいつが覗きこんでいるんだとかどうして自分は寝ているんだとか、いろいろ聞きたいことがあるのに、頭にもやがかかっているようで上手く考えがまとまらない。

なにをする気にもならなくて、イザークは寝たままの状態で天井を見上げていた。

「おい、大丈夫か?」

「・・・・・・・誰?」

いきなり視界に入り込んで来たやつの方にイザークはうっとうしそうに目線を移動させた。

よくみると、シャニの横にも誰かいる。ずっとゲームをしているみたいだ。

今は手を止めて自分の方を見ている。

「オルガ・サブナックだよ。で、体つらいところあるのか?」

「頭が変・・・」

「そりゃ薬の後遺症だな。そのうち慣れてくる、起きるか?」

「ああ」

自分で起きようとしても、上手く体に力が入らない。

オルガもその辺は心得ているようで、イザークの体をゆっくりと引き上げてくれる。

クッションを積み上げてイザークが楽に座れるようにしてくれたのは、先ほどのゲームをしていた奴。

なんの抵抗もなしにそれによしかかるようにして座ると、今度はその男の方を見上げた。

「クロト・ブエル」

それだけ名乗ると、そいつはまた元の場所に戻ってゲームの続きをし始めている。

イザークはオルガと名乗った青年のほうを再度見上げた。

「なに?」

「俺、なんでここにいるんだ?」

「いるから、いるの。それ以外の理由なんてないよ」

そういうと、オルガは手に持っていた本を開いて読みにかかってしまった。

クロトたちの方を見てみれば、クロトはいまだにゲームに熱中しているしシャニはアイマスクを掛けて音楽を聴いているみたいだ。音が大きくてこちらにまで何か聞こえてくる。

そんなばらばらな三人をみたイザークはやることもなさそうなので、再び眠りにつくことにした。

 

 

次に目覚めたときは、自分はどうなっているのだろう・・・・。