会いたかった。
ずっと、ずっと会いたかった・・・・。
でも、どうしていいのかわからなかった。 力を失って、みんなの役に立てなくなるのが怖かった。 ・・・・・約束を守れなくなるのが怖かった。 一緒に平和な世界を目指そうという約束が果たせなくなるのが怖かった。
もう何もかもがわからない。 何も、何もわからない。
会いたくないなんて、嘘。 帰ってほしくなんてない。
側に居てほしい。 抱きしめてほしい。
もう、一人は・・・・・
「・・・・・ゃ・・・・やだぁ!!」
お願い・・・・。 一人に、しないで・・・・・。
「キラ」 名前を呼ばれるのと同時に触れるのは、優しいぬくもり。 知ってる・・・。 このぬくもりは・・・・。 「・・・・ザー・・ク?」 「ああ」 閉じた目を開く。 恐る恐る顔を上げれば、目の前には銀糸の輝き。 「ほんとに?」 「ああ」 「・・・・ィザーク!」 キラは溢れる涙をそのままにイザークの胸に飛び込んだ。
側にいる。 大好きな人が。 会いたかった、愛しい人が・・・・。
どれぐらい、夢に見ただろう。 この愛しい存在を感じたいと。 腕の中に閉じ込めて、自分だけのものにしたいと願っただろう。 でも愛しい存在は守られるだけの弱い存在ではなかったから。 自分の足で立ち、迷いながらも進んでいくことができる強い人間だから。 強くて儚い、愛しい人。 どうか、今だけは何も考えず。 この腕の中で・・・・。
腕の中で泣き続けるキラに、イザークはそっとその背を撫で続けた。 フリーダムが墜とされてから数日、恐らくキラは一人で泣くこともできずにずっと我慢してきたのだろう。 そう思えば思うほど、イザークはキラの側に居てやることができない自分の立場をうらんだ。 どんなときでも側にいてやれたら、どれだけいいか。 「・・・・・ごめん、なさい・・・・」 「キラ?」 「約束、守れなかった・・・」
約束。 一緒に、平和な世界を作ろうと。 人よりも多くの力を与えられている自分達だから、お互いにできる限りのことをしようと。
「気にするな。お前は十分よくやったよ」 「でも・・・」 「このアークエンジェルを守ったのは、キラだ。自分を責めるな」 「僕はもう、何も守れない。力が・・・・ない・・」 「本当にそうなのか?力がなければ、キラは何もできないのか?」 イザークの問いに、ようやくキラは涙を止めて顔を上げた。 「そうじゃないだろう?キラはたとえ力を失ってもキラだ。強すぎる力ではできないことを、これから目指せばいい」 「そんなこと、僕にできるのかな」 「あきらめないで平和を目指すのが、キラのいいところだろう?」 「そうかな?」 「そうだ。あきらめればすべてが終わる。だが、あきらめなければ必ず道は開かれる」 「うん、イザークの言うとおりだ」
あきらめなければ。 希望を失わなければ。 ・・・・・大切な人と、一緒に目指せるなら・・・・。 きっと、あの力を失っても大丈夫・・・。
「ん・・・・・」 イザークの言葉とぬくもりに安心したのか、少しずつキラの体から力が抜けていく。 「キラ、少し眠れ・・・」 「眠くなんてないよ・・・」 そういいながらも、泣いて赤く腫れてしまった目を懸命に擦る。 そんなキラが微笑ましく、イザークはキラの手を止めるとその目元にそっと口付けた。 「大丈夫。何ができるのか考えるのは、眠ってからでも遅くはない」 「・・・・・・ここに、いてくれる?」 「ああ」 イザークは再びキラの体を横たわらせると、その体にシーツを掛けて手を握った。 キラはイザークの手が与えてくれるぬくもりにそっと微笑むと、ゆっくりと目を閉じた。 「あったかい・・・・」 「そうか?」 「うん。ずっと、イザークと一緒に・・・いれたら・・・な・・・・・」 半分意識が朦朧としているのだろう、キラがぼんやりとつぶやいた。 「・・・来るか?」 「え・・・?」 薄く目を開くと、イザークが真剣な瞳でキラを見ていた。 「俺と、一緒に来るか?」 「イザークと一緒に?・・・・行けたらいいなぁ・・・・。ずっと、一緒に居ることができたら・・・・・・・」 そうつぶやくのを最後に、キラからは久しぶりに穏やかな寝息が聞こえてきた。
お前が望むなら。 平和な世界を、手に入れよう。 |
<中書きpart2>
なんといっていいかわかりません・・・;
キラの心情をうまくかけたかな?自分なりに満足です。
イザークはキラが迷っていれば道を示すけれど、本当はキラを戦場になんか出したくないんですよね。
次はそんなイザークの心情の葛藤を書いてみようかと。
あと2話ぐらいで終わります。
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