「決めた!お腹もすいたし食堂行こう。きっと、誰かいるよね」 キラはそうつぶやくと、かぶっていたシーツを退けて部屋を出る。 雷も先ほど鳴ったばかりなので、しばらくは鳴りそうもない、と思いたかった。 壁に掛けてある制服をすばやく身につけると、キラは早々に自分の部屋を出た。 艦内では制服の着用が義務付けられているため、部屋着で外をうろうろするわけにはいかない。 そんなことをすれば、罰則だとか言い訳を付けられて面倒な仕事を押し付けられるだけだ。 キラは雷がならないか、大丈夫かと思いながら早足で食堂へと向かう。 個人の休憩時間に入っている時間帯だからなのか、就寝前だからなのか、艦内の廊下には一人のクルーの姿も見つけることができなかった。 この調子だと、食堂にも誰もいないかもしれない・・・。 そんな不安がよぎる中、キラはとにかく食堂へと急いだ。 食堂が近づくにつれて、なにやらにぎやかな話し声が聞こえてくる。 あの声、ニコルとディアッカだ。 覗き込めば、食堂の中には2人だけ、ニコルとディアッカがなにやら楽しそうに話をしていた。 2人に声を掛けようとしたとき、
またもや雷が鳴り響き、キラは入り口で耳を押さえてしゃがみこんでしまった。 「キラ?」 「キラさん?」 声に反応して振り返ってみると、そこには肩を震わせて、耳を押さえておびえているキラの姿があった。 そのただ事ではない様子に、ディアッカとニコルはあわててキラに近づく。 「おい、キラどうしたんだ?」 「大丈夫ですか?キラさん」 心配そうに覗き込む2人に、キラは目に涙を浮かべながら顔を上げた。 「!?」 「どうしたんですかキラさん!。もしかして誰かにいじめられました?」 たとえば、イザークとかに・・・・。 そういって心配そうに手を差し伸べてくれるニコルの手をとりながら、キラは首を振る。 2人に支えられて立ち上がった瞬間、
キラは思わず近くにいるディアッカに抱きついた。 「・・・もしかして、雷が怖い?」 いきなり抱きつかれてしまって、身動きが取れないディアッカがキラの顔を覗き込むようにして尋ねる。 コクリとうなづくと、キラはディアッカに抱きついている腕に力を込める。 離れそうもないキラを見て、ディアッカとニコルは顔を見合わせる。 「キラさん、大丈夫ですよ。雷なんて一時のことなんですから」 「うん・・・」 そう返事を返しながらも、キラの腕から力が抜けるわけではない。 それどころか、立て続けに遠くで鳴り響く雷にさえおびえる始末。 たいした音でもないのに、だ。 そんなキラの反応に、どうしたものかとまたまた顔を見合わせる2人。 いつも元気に笑っていて、それでいて成績優秀な彼とはまったく似ても似つかない。 もともと外見が艦の中で一番幼く見えることもあり(実質一番年少はニコルなのだが)、ディアッカにはキラを引き離すことはできなかった。 「そんなに怖いんなら眠っちまえよ」 「・・・・眠くならないんだもん」 と、すねる様子も大変かわいらしくはあるのだが・・・。 「そうだ。キラさん、今から僕の部屋でお話しませんか?」 「ニコルの部屋で?」 「ええ。ここはちょっと音が響きますし、眠くなるまで何かお話していましょう?」 「ディアッカも?」 「ええ、彼も一緒です。ね?」 「行ってもいいならな。そうするか?」 「・・・うん」 そういってようやくディアッカから離れたキラに内心ほっとしながら2人はキラを連れてニコルの部屋へと向かった。
あとがき わ〜、健全だ〜。 |