「勝者は・・・・、3年A組、イザーク・ジュールだぁ!」

フラガの声が当たりに響き渡ると同時に、まわりからは大きな歓声が響き渡った。

「キラ、やりましたわね。イザーク様が優勝ですわよ」

「う・・・うん・・・」

ラクスに体をゆすぶられているキラはいまだにゴール地点で座りこんでいるイザークとアスランを見た。

本当は、すぐに駆け寄りたいのに。

自分がいる場所と、姿を考えると、どうにも簡単に近寄ることができない。

と、ふいにこちらを向いたイザークとキラの目があった。

その瞬間、イザークはふわりと微笑んでくれたので、キラも自然と笑みをこぼしてイザークを見た。

「そうですわ、キラ。ちょっと耳を貸してくださいな」

「え?」

ラクスが何事かをキラの耳元にささやく。

それと同時に、キラの顔はだんだん赤く染まっていった。

「ちょ、それは・・・っ」

「あら、いいではありませんか。相手はイザークさまですし」

「そりゃそうなんだけど・・・・・」

恥ずかしいんだもん・・・・、とキラはますます顔を赤くした。

 

 

「さあ、では表彰式を始めるぞ。優勝は3年A組イザーク・ジュール。準優勝は僅差で2年A組アスラン・ザラ。3位は健闘した3年B組のディアッカ・エルスマンだ」

名前を呼ばれた3人は壇上へ上がる。

その横には織姫役であるキラが立っている。

「えっと、第3位、ディアッカ・エルスマン。おめでとう、ディアッカ」

「サンキュ、キラ」

にっこり微笑むとキラは手に持っていた表彰状をディアッカに差し出した。

「第2位、アスラン・ザラ。惜しかったね、アスラン」

「本当だよ。せっかくキラのキスがもらえるはずだったのに。それに期末テスト。みんなに悪いことしちゃったかな」

「しかたないよ。それで・・・ね」

キラはちらっとイザークの方を見てから、アスランの頬にすばやくちゅっとキスをした。

「・・・・・・・!?」

「・・・・・っ」

驚いたのはアスランだけではなく、その隣にいたイザーク、司会進行役のフラガも同様だった。

ステージの上でにっこりと全てを知り微笑んでいるのはラクスだけ。

「がんばったから、ご褒美ね」

「キラ!」

感極まってキラを抱きしめようとするのを、イザークが阻止するようにしてキラを抱き寄せる。

その顔は優勝の嬉しさなどはかけらもなく、不機嫌そのもの。

キスは優勝者だけの権利だったはずなのに、キラはアスランの頬にキスをしてしまった。

おそらく、そのことが原因なのだろう。

「第1位、イザーク・ジュール。あの、おめでと・・・・」

「ああ」

不機嫌。

キラを抱きしめたままのくせに、表情はいつも以上に厳しい。

そんなイザークに不安になり、ちらりと視線をラクスに走らせるが、ラクスはやってしまえとキラを急かすしぐさを返すだけ。

覚悟を決めて、キラはイザークの頬にそっと手を添えた。

「キラ?」

「・・・おめでとう」

そうつぶやくと、キラはイザークの唇に自分の唇をそっと触れさせた。

恥ずかしかったのか、すぐに離れてしまったが。

イザークがきょとんとした目でキラを見れば、キラはますます照れたようにうつむいてしまう。

イザークは微笑むと、抱きしめる腕に力を込めた。

「ありがとう、キラ」

「うん」

「さあ表彰式はこれにて終了です。各自、次のイベントの準備にかかってください」

口をあんぐり開けたまま固まってしまったフラガの代わりにそうみんなに呼びかけ、ラクスはステージを降りた。

それに続いて、キラを抱き上げたイザークが続く。

だが、その場を動こうとするものは、この3人をおいて、他にはいなかったという。

そのおかげで、次のイベントの予定時刻が1時間以上ずれこんでしまったというのは、また別のお話。

 

 

「まさか、キラから本当のキスをもらえるなんてな」

「・・・・ラクスが、イザークが相手なら、それぐらいしてあげなさいって。でも、よかった・・・」

「なにがだ?」

「優勝してくれたの、イザークで。僕、イザーク以外の人とキスなんて、絶対に嫌だし・・・」

「アスランにもしていたようだが?」

「アスランは昔からしているから、別に・・・。でも、たとえ1位がアスランでも、頬以外にキスなんてしないもん」

「分かっている。キラは俺のものだからな。その唇も、全て」

「イザークもだよ。イザークは僕のもの・・・、でしょ?」

「ああ」

 

 

「本当は優勝者の方にはキラの5枚組みプロマイドを賞品としてプレゼントする予定だったのですが・・・、必要なくなりましたね。あの二人は十分幸せそうですし・・・。これはアスランにでも売りつけることにいたしますわ」

 

 

〜あとがき〜

キラ織姫争奪戦!
七夕企画として、姶良さまからリクエストいただきました。なのに、UPは次の日の8日になってしまいましたね。(反省
学園ものは初めて書いたので、何がなにやらわからなくなってしまって・・・・。
出てきているのに、一言もしゃべっていないキャラもなにやらいるようですし・・・。
キラ争奪戦ということでCPを指定されなかったので、結末としてイザキラになりました。
姶良さま、イザキラ大丈夫なのでしょうか?
その辺の確認をするのを忘れてしまったので、ちょっと不安です。