「イザーク、キラさんの様子はどうですか?」

「あいかわらずだ」

そう答えると、イザークはニコルたちが座っているソファの向いにどさっと腰を下ろした。

 

 

 

あれからすぐにパーティーを抜けてキラと共に帰ってきたイザーク。

キラが眼を覚ましたらどうしたのか尋ねようと思っていたのだが、自宅に変えるとすぐにキラは高熱を出した。

急いで医者に見せたのだが、その原因はわからない。

検査をしても、風邪にかかった様子もない。

もしや、病気が再発したのでは、とも思ったのだが、アスランの話によればここまでの高熱を出したことはないという。

 

 

 

「原因がわからないと、対処のしようもないしなぁ」

「今回も、なぜこんなにいきなりなんだ?何も前兆のようなものはなかったんだよな?」

う〜んと考えこむのはディアッカとアスラン

「ない。パーティー会場に着くまでは普通に元気だったし、着いてからも元気に回りを見ていたからな」

キラの様子がおかしくなったは・・・そう、あのアズラエルに会ってからではなかったか。

いつもは初めて会った人とでもすぐ打ち解けることができるキラが、アズラエルとあったときは明らかに怯えていた。

多少人見知りをすることは知っているが、どうみてもあれは様子がおかしい。

だが、キラがあの調子では尋ねることもできず、今にいたる。

 

もう・・・、パーティーの日から1週間が経とうとしていた。

 

アスラン達もキラを心配して、こうして毎日尋ねてきてくれるが、長い時間話すことは医者にも止められている為、結局は眠っている姿を見るだけで終わる。

今もキラは眠ったままだ。

このまま、キラが目覚めなかったらと、時々不安になるときもある。

 

 

コンコン

 

 

ふと、応接室の扉が叩かれた。

「入れ」

「失礼します」

入ってきたのはこの家の執事。

確か、今は側を離れる自分の代わりにキラの側にいるように命じたはずだったのだが・・・。

「キラに、何かあったのか?」

嫌な予感が、イザークの中に浮かぶ。

「いえ。キラ様がお目覚めになりましたので、ご報告にと思いまして」

「なに!?」

イザークはそれを聞くと、すぐに部屋を飛び出した。

後ろからアスラン達も追ってくるのがわかるが、そんなことかまっていられない。

「キラ!」

部屋に入ると、確かにキラは目覚めていた。

ゆっくりとこちらに視線を向けてくるのがわかる。

イザークはキラに近づくと、その頬にゆっくりと手を添える。

「大丈夫か?キラ」

「・・・・・ザーク?」

「ああ」

「イザーク・・・・」

キラが両手をイザークの方に向けて伸ばす。

それを自分の首に回すと、イザークはゆっくりとキラの体を起こして抱きしめてやる。

まだ熱が下がりきっていないためか、普段よりもキラの体が熱い。

力が入りきらないようだが、キラは必死にイザークに抱きついている。

「キラ?」

「僕・・・・怖いの・・・」

「何が、怖い?」

「わからないけど、怖い・・・。一人になりたくない・・・」

「大丈夫、お前は一人じゃない。俺が側にいる」

「ん・・・・・・」

ぎゅっと抱きしめていると、安心したのか、しばらくしてまたキラから静かな寝息が聞こえてきた。

イザークはまたゆっくりとキラの体を横たえ、シーツを掛けなおす。

なにを恐れているのか、それがまだ分からない。

けど、何か・・・。そう、キラは何かに怯えている。

「眠っちゃいましたね」

「ああ」

眠ったキラを起こさないように、そっと近づいてくるニコル。

その後ろにはアスラン、ディアッカもいる。

彼らにしてみれば、起きているキラを見たのも本当に久しぶりのはずだ。

だが、こんな様子だとなおさら心配になってしまう。

 

早く、元気になって・・・。

また明るい笑顔をみせてくれ、キラ。